あなたが悪いのか僕が悪いのかはわからないけれどあなたはそんなにも痛々しく微笑むし僕はこんなにも苦しくて苦いからきっと何かしら正さなければいけないことは僕らの間に存在しているのだろう。




(触れる指先が躊躇わなくなる日をずっと待っている。そんな日が来ることはないのだろうと、なんとなく気づきながらも。)
(触れられるたびに息を詰める癖が直ればいいと願っている。それが身体の芯にまで染みついた防衛本能だと、頭のどこかでは理解しながら。)



「どうして夜は来るんでしょうね」
「どうして夜は明けるんだろうな」



(夜が来なければ、こんなにも過ちを重ねなくとも済むのに)
(夜が明けなければ、すべてが白日の下に晒されることはないのに)



「どうしてあなたは泣かないんですか」
「どうしてだろう。幸福すぎて、きっと壊れてしまったんだ」
「壊れなければ、幸福でいられなかった?」
「かも、しれない」
「ねえ、僕は時々夢を見るんです。決してあなたに出会うことのない夢。その世界はとてもありふれていて、少し寂しくて、どうしようもなく正しい」
「私もその夢が見たいな。一緒に眠ったら見られるだろうか」



(ああ、まどろむ闇が、絶望の色をしている)
(ああ、襲い来る幻が、むせかえる香を放つ)




 あなたが正すべきはきっと僕で、僕が正すべきはきっとあなたなのだ。





いたちごっこ(妹魚)